私の天文遍歴(立志編その1)

1967〜1968

 小学校に上がる前から星の輝きに魅せられた私は、
読める漢字が増え、行動範囲が広がりだすと、
図鑑や渋谷のプラネタリウムで星の知識を
ぐんぐん吸収していった。
そして2年生になるころには、クラスメイトや近所ではちょっと知られた
星好き少年」になっていたのである。

 それにしても何故近所でも有名だったのか・・・
当時、私は東京西郊の府中に住んでいた。
京王線の東府中駅から歩いて10分足らずに家があったのだが、
私は夜毎、家の周囲の路地に平気で寝転がり星空を満喫していた。
すると近隣のクルマが、角を曲がって路地に入ってくる。
私は
何度も轢かれそうになり、近所のお父さん方には
心臓に悪い思いをさせたのだ。
コラ!何やってんだ!」と怒鳴られたことも幾度となくある。

それだけじゃない。
空を広々見たくて、近所の長屋の塀の上に登って星を眺めたりしていたのだ。
すると、何も知らずにほろ酔い加減で帰ってきたお父さんたちは
暗がりの塀の前まできて不意に人に気配を感じる
「??・・・・・

いきなり自分のすぐ傍らに少年が立っているのだ
それも、夜空を背景に自分の目線よりも高いところに・・・である。
これってけっこうドッキリモードだろうなあと思う。
「KさんとこのM君は、星をみてるんだろうけど、
   
いきなり変なところにいるんで困りもんだねえ・・・」などと
帰宅した近所のお父さんと奥さんが会話している様子が目に浮かぶ。
「困りもの」ではなく、「
変わり者」だったんです。

そうそう、星に熱中して、高さ2m余りの塀から落ちたことも何度か・・・
でもケガをしたことは一度もない。
お星様が、
熱心な少年をしっかり守ってくれたのだと堅く信じて疑わない。

 妖しい魅力を放つ
火星や、模様を見るのが易しいという木星
天使の輪っかよりも心惹きつける
土星の環っか!
こうしたものを図鑑の写真や挿絵で見せつけられた宇宙少年は、
もう居ても立ってもいられない。

とにかく「
天体望遠鏡が欲しい欲しい!」病にかかってしまった。

 図鑑に付録としてついていたちゃちな望遠鏡キットで月を眺めては、
その
ぼやけた像にため息をついたりしたものだ。

 さあ、朝から晩まで「天体望遠鏡!」モードに突入だ。
教科書にもノートにも、望遠鏡の落書きだらけ・・・


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