星を楽しもう 入門編1
(プロローグ)

星空を楽しむのに大切なこと・・・
よく晴れた晩がいいですね。 あたりまえだ!と言うことなかれ。 私の言う「良く晴れた」には、
「空気が澄んでいる」という意味も含まれているのです。

都会に暮らしていていつも空気は濁っているですって? いやいや、そんなことはないのですよ。
台風が抜けていったあとの晴れ間、冬型の気圧配置で季節風が強い太平洋側の晴天なんかは、
たとえば東京のど真ん中だって、けっこう空気は澄んでいるのですから。

空気が澄んでいるということは、空気中に浮かぶチリが少ないということ
そもそもなんで都会では星が見えにくいのか・・・
濁った空気が星の光を弱めるということも確かにあります。 しかし、それよりも重大なことは、
大気中に浮かぶチリや水滴などの濁りの元が、
地上の街明かりやクルマのヘッドライトを反映して
夜空がボーッと明るくなることなのです。 これが星の光を埋もれさせてしまい、
都市の星空を貧弱にしているのです。

私が小さい頃から星の知識をたくさん授けてもらった場所に「天文博物館 五島プラネタリウム」がありました。
「ありました」・・・というのは、2001年の3月に、本当に惜しまれつつも44年の歴史に幕を下ろしてしまったからです。
東京近郊の人々には、必ずしも天文ファンでなくても「渋谷のプラネタリウム」で長い間通じた場所です。
渋谷駅前というそれこそ都市の明かりの真っ只中のドームの中では、44年もの間、
私たちが目にすることができる
もっとも美しい星空が再現、投影され続けていました。


今、五島プラネタリウムの投影機や展示資料などは、渋谷の街の一角にある
「渋谷区ケアコミュニティ・桜が丘」内の「渋谷区五島プラネタリウム天文資料」で保存、展示されています。
ここでは現在、月に一度のペースで天体観望会を開いています。
渋谷駅から直線距離で200〜300mしか離れていない場所で天体観望会は成り立つのか??
それが、空気が澄んでいると、けっこう見えるのですよ。 東京では冬に空の条件の良い日が多いですよね。

先日の観望会のときにも、肉眼でなんとか4等星(3.5等星くらい=四捨五入で4等星です)までは見えました。
3等星〜4等星が見えれば、星空初心者でも知っている有名な星座は、おおむね形をたどることができます。
そしてこのページを見に来る皆さんの大部分は、渋谷のど真ん中よりも、街明かりという点で条件の良いところに
住んでいると思うのですがいかがでしょうか? 
あなたには星空と親しむ環境はあるというわけです

私が子供の頃ちょっと苦労したことに、図鑑や本に載っている星座と実際の星空の照合が
うまくできないということがありました。 
要するに、本に印刷された星の並びが、実際の空でどれくらいの大きさ、広がりなのかがわかりづらいということなのです。
これは一度コツをつかんでしまえば芋づる式にわかるのですが、ゼロからだとちょっと戸惑うものです。
その点、
プラネタリウムで星座の話を聞き、実際に近い雰囲気を確かめておくと、
かなり有利な感覚で星空に臨むことができます。


とりあえず「よく晴れた晩」に、外に出てみましょうよ。

星座早見盤か、宇宙や星の図鑑に載っている簡便な星図など、見当をつけるのに一応利用しましょうか。
寒いということはありますが、冬場はいきなり星空にチャレンジするにはいい季節です。
星の並びの均整と、全体の明るさという点ではいちばん優等生である
オリオン座から出発できるからです。
縦長の長方形を、2つの1等星と2つの2等星がかたちづくり、その真ん中に2等星3個が等間隔で並ぶ・・・
大自然の造形としては、ある種の意思を感じるほどの見事な姿で、これは誰にでもわかるでしょう。
このオリオン座をとらえれば、頭の中で、星図と実際の星空のスケールの変換がスムーズにできるようになります。
さらには左下のシリウス(大犬座)。 真左のプロキオン(小犬座)といった星が次々みつかり、
新しい星座を自分でみつけるコツが自然と身に付くのです。
(もちろん春夏秋冬、いずれの空にもとっかかりはありますヨ)
masarukが、小学生時代に使っていた
全天星図と星座早見
ボロボロになった星座早見、
表紙ヨレヨレしみだらけの星図も宝物。
1969年に買ったものです。
「天体望遠鏡がなければ星なんか見ても仕方ない・・・」と思っている人はいませんか?
まずは自分の目、すなわち肉眼をフルに活用しましょう。 
肉眼はとても優れた観測器材なんですよ。

人間の目の瞳(=瞳孔)は、暗夜で直径7ミリくらいに広がります。 言うなれば口径7ミリの望遠鏡です。 倍率は1倍!
なによりスゴイのはまずその視界の広さ。 左右方向ならおおむね120度くらいになります。
天体観察に優れている7倍程度のプリズム双眼鏡でも視野の広さは直径7〜8度ということを考えれば、肉眼の視界は本当に広い。
ちなみに満月のみかけの直径が約0.5度になります。 腕を伸ばしたときのゲンコツの縦幅が10度くらいと覚えておきましょう。

星座っていうものは大きいですよ。 全天でいちばん面積が大きく、かつ長い星座が「うみへび座」です。
その全長はうねうねと東西に102度もあります。 逆にいちばん小さいのはあこがれの南十字星=「みなみじゅうじ座」です。
この小さいみなみじゅうじ座でさえ、双眼鏡では全体が入るか入らないくらい。
やはり星座探訪は肉眼の独壇場なのです。

肉眼・・・オペラグラス・・・プリズム双眼鏡・・・小天体望遠鏡・・・ちょいとこだわりの天体望遠鏡
星空探訪、星の姿を探る道具はこんな順番に並べられると思います。
オペラグラスっていうのは、倍率2倍〜3倍のごくごく簡単な構造の双眼鏡の子分です。
(昔、折りたたみで留め金外すとパッと開いて使えるオペラグラスがありました)
倍率2倍のオペラグラスでも、肉眼の補助としては立派に役立ちます。
本格的双眼鏡より視野が広いぶん、星座探訪のアシストにはもってこいなのです。

肉眼も含めてそれぞれの段階、機材でそれなりに楽しめる世界が星空にはあります。

さあ、心の準備はOKですか?
おっと、夜露にあたりますから、防寒だけはちゃんとしてくださいネ