星を楽しもう 入門編 3
(実際の観望・・・2003春編)

星空解説シミュレーション図には、原版として
「ステラナビゲーターVer.6」(©アストロアーツ)の画像を利用しています。


長いこと休眠してましたが、ようやく復活であります(笑)
地上の天候不順とか季節の気まぐれをよそに、星空のほうはいつもの期待どおりに季節を刻んでいます。
冬の夜空は、
の1等星に加えて、ここ数年は木星土星が助っ人をやっているのでどえりゃー豪勢です。
でも木星の方は土星を置いてどんどん東に移動しますから、来年は獅子座=春の星空エリアに引越しです。

春先の宵空は、まだ明るい冬の星群が大きく展開していますが、その賑やかさの東側には
控えめな春の星群が・・・
いや、春の星々が存在感薄いというわけではないのです。 ただ、冬の諸星が
あまりにきらびやかなため、
ちょっとコントラストがついているというのが真相ですね。夏の
賑わいのあと、秋の星空に寂しさが漂うのと似ています。

冬の星座と春の星座の境界線はどのあたりでしょうかー?
冬の星群の東寄りに陣取る大犬、小犬、双子は
冬の星座度は100%でしょう・・・
獅子座は・・・教科書にも「春の代表星座」と書かれてますし、まあ個人見解でも「春の星群メンバー」でしょう。
(春の代表という言葉は乙女座に贈りたいですが・・・)
では双子と獅子の間に
はさまれた「蟹座」は!? 確かにこりゃ難しいところですね。
微妙な判定というところで、「冬度50%、春度50%」で逃げましょうか・・・
蟹座が太陽と正反対の「衝」の位置に来るのは、毎年1月31日〜2月1日頃です。
この点に
重きを置くと、蟹座の冬度は70%くらいになる感じがします。
蟹座の中央にはM44散開星団=プレセペ星団があります。2003年前半シーズンは木星が近くにいて目印ですね。

かに座

明るい星の少ない星座ながら
形はなかなか整っている
12年に一度、木星が近傍にやってきて飾り立てる
1978-79シーズンに木星がやってきた写真は
Galleryにあるので見ていただきたい

肉眼ではボンヤリした光塊に見えるプレセペを、昔の中国では「屍積気(ししき)=屍骸から立ち上った妖気の集まり」と喩えたから、
これは生暖かい空気が流れる春の怪談の気配が・・・ということで、こちらからは春度80%のアピール。
総合判定は蟹座=浅い春の先頭星座・・・という
苦しい言い回しにさせてもらいました。

さて冬の大三角(=ベテルギウス、プロキオン、シリウス)の東(左)側は、星の少ない空間が広がって見えます。
その中でひとつ
ポツンと目に付くのが海蛇座のα星アルファルドです。その意味するところは「孤独なもの」・・・わかるなぁ。
太陽より表面温度が低いK型スペクトルの巨星で、やや
の入ったその輝きは、なぜか心に訴えかけるものがあります。
別名はコール・ヒドレで、これは海蛇の
化け物であるヒドラの心臓という意味です。
そこそこ星のよく見える晩、小犬座のプロキオンの東に、自分の左の握りこぶしを目の前にかざしたように
クルッと巻いた
微光星の群れが見つかるでしょう。ワラビやゼンマイの
巻いた部分とも言えそうです。ここが海蛇の頭にあたる星の配列です。
そして左下に流れ下ったところにα星アルファルドがあり、さらに東へ東へと星の並びが辿れます。
頭は冬の星座「小犬座」の尻尾を狙い、自分の尻尾は夏の星座「蠍座」のハサミに狙われるというのが海蛇座の特徴。
つまり東西にやたらと長いのです。全長は天空上の角度で102度。
20時の星空で東の地平線に海蛇が頭をひょっこり出すのは元日の頃です。そしてうねうねうねうね〜・・・
東南東の地平線から尻尾が抜け出すのは5月初めになります。

うみへび座全景


うみへび座全景

北半球の春の南天に横たわる、蛇の怪物ヒドラ
南半球だと、頭上高々にかかるが、
やはり北半球中緯度からの姿がいちばん自然

海蛇座は細い星座ながらなにしろ長い。このため、天球面に占める面積は1303平方度で、全天の88星座中一番の広さです。
ちなみに2番は1294平方度で乙女座。 全天で最小面積の星座は南十字座で68平方度しかありません。
蛇足(笑)ですが、かの
ハレー彗星の遠日点(軌道上でもっとも太陽から遠いポイント)は、
太陽から見て海蛇座の頭のすぐ西側の方向にあります。 ハレー彗星の遠日点は距離では海王星の軌道の外側になります。
このため地球から見たハレー彗星も、太陽に接近して明るく見える近日点通過の前後数年を除くと、
おおむね海蛇座の頭の方向にあって、ゆっくりゆっくり動いているのですよ。 (
ああ懐かしい、眺めたのはもう17年も前)

北の空高くを見上げましょう。なんといっても目に付くのは夜空に振り上げられたようにも見える「北斗七星」です。
星座覚えの最初のほうに出てくるこの有名な星たち。これが宵にどんな向きでどこらあたりにかかっているかで、
意識しなくても、星空を介した季節感を体が感じ取ります。 あるいは、一晩のうちでも北斗七星の回転で、
星見人(ホシミスト)は時刻を感じ取っています・・・「えっ、北斗があそこ!? もうそんな時間かよ・・・」ってな具合です。
もちろん、北極星を挟んで北斗の
ほぼ反対側にある「カシオペア座」のW(またはM)形の位置でも同じようなことができますが、
個人的には北斗七星の位置インパクトのほうが、季節や時刻の基準になっています。
北斗七星の輝きを見ると少年時代を思い出し、「星を見はじめたころの初心に帰れよ・・・」と言われているような気がします。
1996年の3月に百武彗星が地球に接近して長大な尾をなびかせたときには、ちょうど北斗の近傍でした。
好条件で撮られた写真をみたとき、北斗七星が彗星の巨大さを実感させる物差しになったものです。