朝の情景

毎朝、家から最寄の駅までは30分ほどをかけ、朝日の中、冷たい空気をかきわけて歩く。
家は小さな丘陵の少し窪んだところにあり、雑木林に包まれている。
玄関を出ると、ガレージからこっちを見ているゴンタに挨拶。 そして歩き出すのが習慣。
まず樹木と竹林に挟まれた急坂を登る。 短いけどけっこうきつい坂で、雪が降るとチェーンのクルマが上がらない。 
すぐ上りきると、丘陵のなだらかな尾根に沿う道なりに歩く。
道の左側は、野菜畑や梨などの果実畑が広がり、右側は普通の住宅が立ち並ぶ静かな道筋。
丘陵を下る幅広い道のところで家並みが切れて、南西方向の丹沢と真白き富士がよく望まれる。

まだまだ人の気配もない通り
お気に入りの小道
そして、丹沢の遠望
(富士は雲の向こう)


家から7〜8分歩くと、息子たちの通った小学校のそば。 登校の子供たちの賑やかな様子を見ると、
自分の小学生時代となんら変わらないようにも思えるが、実際にはここでも、一部には学級崩壊の兆候など、
現代の深刻な側面が顔をのぞかせているともいう。 

このあたりから右に曲がって、小さな路地から木々の並ぶ小道を抜ける。 このあたりは私のいちばん好きなところ。
夏にはクヌギやカシなどのどんぐりの木に、クワガタムシやカナブンがいることも珍しくない。
横浜とはいえ、我が家の周辺ではまだまだ自然のカブトムシも姿をみせる。

再び住宅地に入るが、まもなく、畑と竹林越しに富士山方向の展望が開ける第2のポイントにさしかかる。
そこから先は市営住宅沿いの広い公道に出るが、私はわざと狭い樹木の多い小道に踏み込む。
夏場には、蜘蛛の糸が道を横切るように1本、また1本と張り渡されていることもあって、うっとうしいこともある。
その点、寒い季節はさすがに蜘蛛の糸はないので気遣いがいらない。

南斜面にはりつく保育園の脇にある、クルマの通らない細い急坂を下るとふもとの地方道。ここはバスも走り交通量も多い。
信号を渡り、恩田川(鶴見川の上流)にかかる橋まで直線道の歩道を黙々と歩く。 左は梨畑。 右は畑。
空気が澄んでいると、はるか西方には多摩の山並みがきれいに横たわって見える。
私がときどきでかける御嶽山もはっきり識別できる。 少し左手奥には、たぶん南アルプスの一部なのだろうが、
きれいに雪に塗り込められた山脈の片鱗が見えることもある。

丘陵を降りてしばらくすると
左手から朝日が顔を出す。


橋の欄干越しに見る恩田川には鯉がたくさん泳いでいる。 サギの仲間やカモもいてけっこう賑やかだ。
橋を渡りきると左に折れ、左手に川、右手にマンションの連なりを見て進む。 駅まであと5分。
街路樹の間をしばらく歩き、緑スポーツセンターの横を抜けると、もう線路と目指す駅のホームが見えてくる。

階段を上がり、階上駅舎の改札をくぐる。
いつものお馴染みさんたちの顔がホームに並んでいる。 みんなそれぞれのルール、ルートで駅にたどりつき、
ここからは黙然と目的地まで揺れる電車に身をゆだねるのだ。 みなさんきょうも頑張りましょうや・・・。